ハルヒとYouTube


YouTubeからアニメが消えた?」(「ITmedia」より)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0606/15/news073.html
まぁ、当然っちゃ当然。

リンクなどをたどってアニメ作品にアクセスすると、「著作権を侵害しているため削除した」などと表示され、視聴できないケースが多発している、という。サンライズGDHなど、アニメ会社からの要請で削除したことを示すメッセージが現れる作品もある。アップロードしたユーザー自ら削除しているものも多いようだ。

版権を持っている者としては、放っておくわけにはいかないだろうなぁ。


涼宮ハルヒが起こしたYouTubeの憂鬱、ネットマーケティングの大成功例。」(「[mi]みたいもん!」より)
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/youtube_e773.html
話題になった、いしたにまさきさんのエントリより。

YouTubeには既に放送された全話アップされているだけではなく、英語字幕までついたものまでアップされてます。それにハルヒはキー局放送じゃありませんから見たくても見れない人がいっぱいいるわけです。ネットのハルヒに関する言説を見た人は実際の放送が見たくて仕方がなくなる。その欲望のはけ口をYouTubeが支えているわけです。

いしたにさんは詳細に『ハルヒ』のネットを使った「仕掛け」について解説されていますが、ぼくの見方はもっと単純です。


昨日書いたエントリより。

涼宮ハルヒ』はYouTubeとインターネット環境(それこそ、はてなブックマークとか)が生み出したヒット作だ、という論調だってある。


やっぱり、単に放映本数がジャカスカと多いわけだから、本放送じゃもちろん、ビデオ、HDレコーダーをフル稼働させたって追いつかないだろう、と。1週間に60本なら、全部30分だとして30時間。1日4時間強、アニメを見るわけにはいかない。
で、『ハルヒ』はちゃんと話題になるクオリティを提供して、実際、ウェブ上で話題になることに成功した。はてなブックマークでもいいし、アニメ系のニュースサイトでもいいですよね。
それで、たとえば1話とか2話とかチェック漏れしていた人も多いと思うんです。『ハルヒ』だって、『ガンダム』じゃないし、妹が十何人出てくるわけじゃないし、そんなに前評判でヒートしていたわけではなかったと思う。
だから当然チェック漏れが起こっていて、でも見た人は「なんじゃこれ!」とウェブに評判を書き込む。チェック漏ラーは、「あー、しまった!」と思うわけですが、従来ならDVDリリースまで待たなきゃいけなかったわけですよ。3カ月ぐらいのスパンが必要だった。そして3カ月DVDを待ってる間に何が起こるかというと、また改変期なわけです。60本ぐらいザバーッと打ち寄せる潮のように始まる。すると、ちょっと前の評判なんて押し流されちゃうよね。*1


そんな折、YouTubeがあれば、単純な話、すぐに、誰でも、評判に追いつくことができたわけです(過去形)。
時間と、場所を選ばず、友達がいない人でも、ズボラな人でも、ほぼオンタイムで話題に乗っていける。話題に乗ってくる人がぐんぐん増えていく。『ハルヒ』はそのラインにうまーく乗っかったみたいです。


いしたにさんの記事より。*2

ハルヒは1クールで終わるアニメです。キー局じゃありません。広告予算も潤沢ではないはずです。だから、ハルヒのスタッフはいわゆる「あちら側」のネットの善意を信用したんですね。信用しているから、安心して不親切さを仕掛けられる。


YouTubeで見られると、DVDが売れなくなる」ってのは大間違いで、逆に見たことないものをいきなりウン千円もするDVDというメディアで買う、という人は圧倒的に少ないはず。特に今は少ない。それはメーカーの人間もわかってると思います(視聴率が喰われるのでスポンサーが苦い顔をするのがデメリット。でも、やっぱりDVDが売れてほしいと思ってるはず)。
YouTubeがあると、要するにずーっと再放送やってるようなもので、メーカーとしてはプラスだと思うわけです。でも、さっきのも述べたとおり、これはルール違反で、それは法律違反でもあるし、業界の経済活動の埒外にある、という意味でもルール違反なわけです。となると、放っておけない。それで削除。


面白いのは、YouTubeが爆発的に普及していったのがこの数カ月で、その恩恵をダイレクトに受けたのが今後含めて『ハルヒ』1本になる可能性がある、ということです(あ、『GUN道』があるのか)。


これで、話題だけじゃなく、ちゃんと経済として製作者側にハネ返ってくるようになったら、業界だってYouTubeを上手く利用しよう、と考えてもおかしくはないです。『ハルヒ』は、現時点で唯一無比のテストケースになっているような気がします。


また柄にもないこと書いちゃいましたね。テヘ。

*1:アニメ好きの友人に録画されていたのを借りる、という手もあるんだけど、みんながみんな、そんなにマメじゃない。録画するのは簡単だが、「人に貸す」という工程は本当に面倒だから。

*2:今度、原稿お願いしますー。>公開依頼