父ちゃんとオレ


祝!中日ドラゴンズ優勝!
というわけで、昨日付けの東京スポーツ紙では、なんとビールでズブ濡れの落合監督とそのジュニア、福嗣クンのディープキス写真が衝撃の1面を飾った*1


落合福嗣クンについて語るには、おれごときではまったくの力不足である。
ので、おれの大好きなブログ「負け犬のブルース」を参照されたい。


「世界の中心で福嗣がさけぶ!」
http://soukon1.blog.ocn.ne.jp/makeinu/089/index.html

そして次の瞬間、福嗣くんが口を開いた!!
「オ〜、ベイビー。」

これだけではなんのこっちゃわからんだろうが、何かしらの福嗣力(ふくしりょく)の一端を示しているのはたしかだ。


あと、これな。
http://www.youtube.com/watch?v=Mkjd34p8Avg
こんなものが放映されているのか、おれの故郷では(名古屋出身)。


落合福嗣伝説」
http://2chart.fc2web.com/hukusi.html

家族対抗歌合戦でもののけ姫熱唱


落合福嗣」(「ピンフスポーツ」より)
http://d.hatena.ne.jp/ryu48/20050224

監督として初めて名古屋へ向かう父に対し、ベランダから「ういろう!ういろう!」と別れの挨拶。落合の乗った車が見えなくなるまで「ういろう!きしめん味噌カツ!」と信子と共に叫んでいた。

単身赴任で疲れきった落合のもとへ信子が助けに向かう。その際、福嗣クンは。「夫婦水入らずで、元気になるんだよ」と粋なメールを送信

報道陣と野球する時は「ぼくをセーフにするんだよ、分かった?」と、オレ流ルール。

もう野球じゃないよ、それ。

機嫌をそこねたら「もう、お前には情報やんないよ」

アメとムチ。


前置きが長くなってしまったが、その中日優勝を伝える東京スポーツが1面で大フィーチャーしたのが、福嗣クン&「落合福嗣独占手記」。
1面びっしり福嗣クンの手記であり、先ほど述べた「ディープキス写真」のほか、福嗣クン直筆の色紙が2枚、福嗣クン笑顔の顔写真入り(ちなみに落合監督の顔写真や色紙はナシ)。福嗣クン以外は「北2度目の核実験」とか書いてあるだけだ。


で、その独占手記がなかなかイイこと書いてあるんです。難しい言葉を使わず、だからといってバカでもない。非常に明晰に落合監督のことを捉えており、それでいてグッとくる家族愛。お待たせしました。落合福嗣独占手記、著作権も何もかも乗り越えて、丸ごと転記してみましょう。インターネットは無法地帯だ!(90年代の宝島ムック風)

 父ちゃん、優勝おめでとう。本当によかったね。胴上げされて何度も宙を舞う父ちゃんの姿を見てたら、なんだか胸の奥から熱いものがこみ上げてきた。今まで見た中で最高の笑顔だったよ。
「今年はうちが優勝するから焦ることはないって」。シーズン中に、父ちゃんが言っていた通りになったね。どんな時でも、父ちゃんは余裕だったもんな。シーズンが始まったころは、「アンタ、巨人がきょうも勝ったよ」と、母ちゃん*2が毎日のように言っていたけど「お、そうか。でもいいんじゃないか。今、飛ばしているから、夏ぐらいから落ちてくるだろう」と全く気にしてなかった。巨人は眼中にないって感じだった。
 阪神が追い上げてきた時もそう。解説者の人が「追う方が精神的に有利」と言ってたことを伝えたら、父ちゃんは「逆だぞ。追う方は必死。負けられない。うちは負けられるんだから」って笑い飛ばしてたね*3。チームの調子が上がらなくて「アンタ、きょうも負けたね。もう優勝ないね」と、母ちゃんが言った時には「何言っているんだ。優勝という言葉、日本一という言葉は一日たりとも忘れたことはないぞ」と力強く答えてた。あのセリフを聞いてオレは安心したよ。ああ、優勝の確信があるんだろうな、それだけ自信があるんだなと思ったからさ。
 今年、父ちゃんの言葉ですごく印象に残っているものがある。一緒にメシを食べている時*4に「オレはな、選手にチームのために野球をやってほしくない。個人で、自分のためだけに野球をやってほしい。チームじゃなく家族のために野球をやってほしいんだ」って言ってたよね。
 普通は逆じゃない。みんなチームプレー、チームプレーと言う。でも、父ちゃんは「家族を楽させよう、年棒を上げようと必死になることで自分のレベルも上がるし、それが結果的にチームに貢献することになる」という考えなんだよね。だからオレ流とか、個人主義と言われるんだろう。みんながオレ流と言う時、その言葉の中には“自己中心的”という意味合いも含まれていると思う。だけど他人にとらわれず、自分のためだけに野球をやってきた父ちゃんをオレは心の底からカッコいいと思うよ*5
 今だから言えるけどオレ、落合博満の息子というのが嫌でしかたがなかった。「親父は野球うまいのに何でお前はヘタなんだ」。昔からこう言われてきた。1対1ならオレは負けない。でもあいてはいつも大人数。バットで右ヒザを叩かれたこともあった*6。父ちゃんたちと一緒に病院に行ったらじん帯を痛めていた。今でも激しい運動をするとヒザの力がガクッと抜ける*7
 父ちゃんが監督になってからは「きょう負けたけど、どうなってんだよ」「お前の親父、勝てないじゃないか」って周りからは言われた*8。オレはさ、自分のことなら何て言われてもいい。でも、父ちゃんと母ちゃんのことだけは他人から何か言われることは絶対に許せない。だからケンカになったこともあった。「何で親父が偉いだけでこんな思いしなきゃいけないんだ」「オレは落合博満の子供に望んで生まれたわけじゃない」。あのころはそんなふうに思っていた。きつかったな。それで学校には行かなくなった。
 でもオレが不登校になった時*9、父ちゃんも母ちゃんも無理に「学校に行け」とは言わなかったよね。あれはありがたかった。「悩むだけ悩め」っていう感じだったから、いろんなことを深く考えることができた。一緒にメシを食べながら、父ちゃんがオレに言ってくれた言葉は忘れないよ。「お前な、オレは野球がうますぎていじめられたんだぞ」。父ちゃんは高校1年からエースで4番。でも、それをねたんだ先輩から殴られたりいじめられたりして何度も野球部を辞めているんだよね。それまでオレ、野球のプロで一匹狼、オレ流と言われている父ちゃんに悩みがあるなんて思わなかった。無口だし何考えてるか分からなかったし……。でも、そんな人でも高校に行っている時はやっぱり大変だったんだなと思ったら、何だか楽になった。あれは“お前も負けるな”というメッセージだったんだよね。
 今は大学に通っていて毎日が楽しい*10。そしてオレは落合博満の息子に生まれて本当に良かったと思ってる。いや落合博満という名前なんて関係ない。父ちゃんと母ちゃんの子供でよかった。「孫の顔が見たい。お前、できちゃった結婚*11でいいから早く結婚しろ」って、父ちゃんは言うけど、オレに子供ができたら父ちゃんのような父親になりたいし、母ちゃんのような存在になりたい。2人とも世間体は気にしないけど*12、オレのことを一生懸命考えてくれる最高の親だから…。
 さあ、次は日本シリーズだ。2年前、西武に負けた後、父ちゃんは「負けちゃったなあ。まあ最初の年だからリーグ優勝できただけでいいと思わなきゃ」と珍しくおしゃべりだったね。でもオレには分かってたよ。父ちゃんは勝った時は無口。負けた時の方がよくしゃべる。すごく悔しかったんだろうな。
 今年はセ・リーグの話題はあまりしなかった。それより「パ・リーグはどのチームがきても対策はできている」とよく口にしていたね。シーズンが始まった時から、リーグ優勝することを前提に考えていたのだろう。「1年目の二の舞いは演じない。日本一は大丈夫だ」。今度はこの言葉を本当にする番だ。オレと母ちゃんにもう1度胴上げされる姿を見せてほしい。父ちゃん、頑張れぇぇ−−。


別に突っ込みどころ満載でもないし、爆笑する部分もない、普通の文章である。でもなぁ、なんかじんわりくるんだよなぁ。おれが中日ファンだってことはさておいてさぁ。こういうのもいいじゃない。滋味あふれる大人のブログ、MUSTERBATORがお送りしました。


最後に読者プレゼント。壁紙などにどうぞ。「Matsuno-FC Blog」より。
http://image.blog.livedoor.jp/matsu777style/b012da14.jpg
2年前の福嗣クンです。

*1:写真のキャプションは「俺達のチュー日」。東スポはすばらしすぎる

*2:信子夫人。http://images-jp.amazon.com/images/P/4048981838.09.LZZZZZZZ.jpg

*3:「狙われるもんより、狙うもんの方が強いんじゃ」と言ったのは『仁義なき戦い』の広能昌三

*4:たぶん「まーはん」。

*5:http://image.excite.co.jp/jp/music/jacket/4988/0061/m/4988006189768_m.jpg

*6:激しい!

*7:武藤敬司みたいだ。もしくはランジェリー武藤

*8:落合が監督に就任したのは3年前。福嗣クンもずいぶん幼稚な連中に捕まっていたもんだ。

*9:高校2年生のとき。ちなみに国士舘高校……。

*10:どこの大学だろう?

*11:http://soukon1.blog.ocn.ne.jp/makeinu/images/hukushi6-thumb.JPG

*12:http://images-jp.amazon.com/images/P/4048981838.09.LZZZZZZZ.jpg