80年代以降日本映画ベスト100に驚いた


角川書店が発行している「オトナのためのニュータイプ・エンタテインメントマガジン」、『NewWORDS』。第2号の特集は「after'80s 日本映画ベスト100」。日本映画の25年間を総括する大胆な企画なのだが……。

ここ数年で一気に開花した、日本映画。
その勢いはとどまるところを知らず、次々と新作情報が溢れ出る。
ここで一度、本当におもしろい映画を探してみよう。
興行成績、レンタル実績、アンケートなどを集計し、
NewWORDSが決めた、新しい日本映画ランキング発表!

見出しより。じゃ、決めてもらいましょう!


これがベスト10。ドン!

1位『ALWAYS 三丁目の夕日
2位『バトル・ロワイアル
3位『踊る大捜査線 THE MOVIE2』
4位『ピンポン』
5位『南極物語
6位『下妻物語
7位『電車男
8位『ウォーターボーイズ
9位『天空の城ラピュタ
10位『木更津キャッツアイ 日本シリーズ

はい? 『ピンポン』? 『電車男』? 去年のレンタルビデオランキングですか? 


11位以下も凄いぞ。

11位『座頭市』(03年)
12位『火垂るの墓
13位『スウィングガールズ
14位『世界の中心で、愛をさけぶ
15位『時をかける少女』(83年)
16位『影武者』
17位『Love Letter』
18位『機動戦士ガンダム? めぐりあい宇宙』
19位『Shall we ダンス?
20位『キッズ・リターン

黒澤映画が逆に物凄い違和感を醸し出している。『座頭市』はなぜか北野武版。『キッズ・リターン』は好きな映画だけど、『ソナチネ』も『HANA-BI』も入ってないのね。

21位『GO』
22位『NANA
23位『鉄道員(ぽっぽや)』
24位『紅の豚
25位『誰も知らない』
26位『ガメラ2 レギオン襲来』
27位『ビルマの竪琴
28位『復活の日
29位『ハッシュ!
30位『瀬戸内少年野球団

紅の豚』は入ってるけど、なぜか『風の谷のナウシカ』は入ってない。

31位『王立宇宙軍 オネアミスの翼
32位『その男、凶暴につき
33位『リング』
34位『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer
35位『マルサの女
36位『着信アリ
37位『Helpless』
38位『GHOST IN SHELL/攻殻機動隊
39位『リターナー
40位『VERSUS ヴァーサス

ツッコミどころ満載。とりあえず、『ケイゾク』を監督した堤幸彦と『着信アリ』のプロデュースをした秋元康のインタビューが(別記事だけど)収録されている。どっちも角川映画。あ、『リターナー』は『三丁目〜』の山崎貴監督だ(インタビューあり)。

41位『セーラー服と機関銃
42位『私をスキーに連れてって
43位『転校生』
44位『AKIRA
45位『真夜中の弥次さん喜多さん
46位『いま、会いにゆきます
47位『櫻の園
48位『シコふんじゃった。
49位『野獣死すべし
50位『バタアシ金魚

松田優作関連作品が49位で初登場。

51位『血と骨
52位『大誘拐 RAINBOW KIDS
53位『ナビィの恋
54位『遊びの時間は終らない』
55位『たそがれ清兵衛
56位『岸和田少年愚連隊
57位『父と暮らせば』
58位『スペーストラベラーズ
59位『弾丸ランナー』
60位『ゼイラム2』

岸和田少年愚連隊』はイイ映画ですよ。そういえば今年の映画賞を『三丁目〜』と争った『パッチギ!』はまだランキングされてない。他にもいろいろツッコミたいけど、60位『ゼイラム2』って凄いなぁ。

61位『逆噴射家族
62位『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
63位『スワロウテイル
64位『ジョゼと虎と魚たち
65位『アイデン&ティティ
66位『ビー・バップ・ハイスクール
67位『パッチギ!
68位『家族ゲーム
69位『鮫肌男と桃尻女
70位『中国の鳥人

66位に『ビー・バップ〜』。東映が製作、本番線で上映した映画が初登場。68位に森田芳光、70位には三池崇史が。よりによって『中国の鳥人』なんだ……。

71位『ラヂオの時間
72位『ぼくらの七日間戦争
73位『スローなブギにしてくれ』
74位『遠雷』
75位『魔界転生
76位『竜二』
77位『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』
78位『八つ墓村』(96年)
79位『金融腐食列島[呪縛]』
80位『蛇イチゴ

シュールな並びだなぁ。おれの感覚が古いんだろうか……。どうでもいいけど、『遠雷』や『竜二』ははてなキーワードにもなっていない(49位の『野獣死すべし』とかもそうなんだなぁ)。

81位『呪怨
82位『ゆきゆきて、神軍
83位『異人たちとの夏
84位『麻雀放浪記
85位『キューティーハニー』(04年)
86位『我が人生最悪の時』
87位『どついたるねん』
88位『ツィゴイネルワイゼン
89位『ヴァイブレータ
90位『鬼龍院花子の生涯』

ちょっと油断すると爆弾が登場する。キキキキューティーハニー? 古い映画も並んでるけど、これは要するに「名作と呼ばれるような作品も、おれたち(この雑誌)にしてみれば『キューティーハニー』と同じぐらいの価値(そして『電車男』よりはるか下)なんだぜ」というアピールなんだと思う。 

91位『陰陽師
92位『Wの悲劇
93位『月とキャベツ
94位『鉄男』
95位『無能の人
96位『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム
97位『アカルイミライ
98位『黄泉がえり
99位『69 sixty nine
100位『ローレライ

妻夫木聡の出演作品が2本。これでアイドル雑誌を標榜してるんなら何も思わないけどさ。なんせ「オトナのためのニュータイプ・エンタテインメントマガジン」だよ? 全体的にスカした作りだし。いやぁ、凄かった。たしかに斬新なベスト100だわ。


ちなみにベスト100の算出方法は以下のとおり。

ベスト100は、'80年以降に公開された映画作品から、興行収入、配給収入、ビデオレンタルランキングなどに、読者アンケートによる投票を加えて決定した。データ協力:TSUTAYA

よくわからん基準だけど、ビデオレンタルランキングをどうやって加味したんだろう? 去年の映画と25年前の映画に一律で計算しちゃうのは無理があるんじゃないかい? そういえば1位の『ALWAYS〜』はまだレンタル前だ。


さっきもちょっと書いたけど、とにかくこの雑誌は日本映画に新しい歴史を作ろうとしている。古い映画はよくわからん、って感じ。古いものはつまらない。この並びなら「2000年代ベスト10」でいいじゃん、とも思うんだけど、そうじゃないらしい。25年トータルで語りたいんだよ。それでいて、古いものはつまらん、新しいものが面白い、という順列をつけたかったんだと思う。さすがに70年代以前には手を出せなかったみたいだけど。単に見てないからなのか、商売として大きなマーケットじゃないから捨てたのかは不明。まぁそれはともかく、偽史だよな、このランキングは。いや、本当にそこまで意図してるからなのかわからないけど。とにかく驚いたよ、おれは。