萌え系オモチャで日本は滅ぶ

putchee-oya2004-10-14



 
『POPULAR science』という雑誌を読みました。前からある雑誌ですが、手に取るのは初めてです。最近、リニューアルがあったのかな? 前号が「藤子・F・不二雄特集」で、今号は「玩具特集」です。


特集内には経済アナリストであり、著名なオモチャコレクターでもある森永卓郎*1のインタビューも掲載されています。
将来のオモチャはどうなるか?というインタビュアーの質問に対し、森永氏は「オモチャの技術が日本の最先端技術をリードしている」としたうえで、「子供の求めるオモチャは、人型ロボットになるのではないか」と予想。なるほど。まぁたしかにAIBOとかありますからね。まだ犬型ですけど、あれが人型になっても不思議はないというか。


しかし、ここから森永氏の予想はとんでもない方向へ走りはじめる。将来、人々が求めるのは単なるオモチャロボットではない、と言うのだ。

「キャラクターもので“萌え”系というものがあります。“萌え”というのは、キャラクター的なものをこよなく愛する、恋愛感情を抱くものです。それに対応する技術が、今ものすごく進んでいるんです」

近い将来、現在進行形で発展を続けているフィギュアの造形能力に、恋愛シミュレーションゲーム(いわゆるギャルゲー)の対話プログラミング能力が統合され、「“萌え”系の願望をかなえてくれる恋愛ロボット」が誕生するというのだ!
でも、そんなものを欲しがるのって、一部のオタクだけなんじゃないの?
いいや、そうではない、と経済アナリストは断言する。

「最終的には、男も女も人間の恋人を持つのを忘れて、人型ロボットの恋人を連れて歩くようになるんじゃないでしょうか」

イノセンス』や『アイ,ロボット』の世界より遥か先を見据える経済アナラーの大胆予想。だけど、それっていつの話よ? 100年後? 200年後?

「あと10年もしたら、誰も人間の異性を口説こうなんてしなくなります」

早っ! 

「その結果、子供が生まれなくなり、少子化で日本は滅びます」

結論も早っ!


オモチャを「毎週、ダンボールに4〜5箱は買っている」生活を続けていると、こういう考え方に行きついてしまうのだろうか? はたまた、こんなヨタ話をUFJ総合研究所(森永氏の現在の勤め先。肩書きは「主席研究員」)で研究しているのだろうか? ちなみにモーリーの専門分野は「マクロ経済学計量経済学労働経済、教育計画」とのこと。


編集部も、オモチャの話を聞きにいったら突然「日本は滅ぶ」とか言われて、かなり慌てた模様。明らかに「森永卓郎インタビュー」という体裁をとっている記事なのに、巻末にまったく関係ないコラムニストのコメントを挿入している。


で、その石原壮一郎*2とやらのコメントがまたどうかしていて、記事の泥沼化に一層、拍車をかけているのだ。

(前略)“萌え”の技術は、女性とのコミュニケーションに対応できるようになっていくのだそうだ。「ギャルゲー」でコミュニケーションの技術を身に付けた男たちが、女性を口説くようになると言う。

ギャルゲーでトレーニングを積んだオタクがストリートでナンパ師に大変身! ……痛々しい光景だ……。いい加減なこと言うなよ、石原*3


そして、よせばいいのにこのコメントをまたモリタクに伝えるのだ、この編集部は。

しかし、森永さんは、「実際どうなるかはわからないけれど、私は恋愛ロボットのほうに行くのではないかと思っています」と自信ありげだ。

この「実際どうなるかはわからないけれど」っていうのは、男たちが生身の女と恋愛ロボット、どちらを選ぶかわからない、という意味である。10年後には、萌え技術の総力を結集した恋愛ロボットが開発されている、というのは単なる前提だ。そのうえで、男たちは恋愛ロボットを選ぶと私は思っているんだがね、ハフーン、というのがアナリスト・モリタクの主張である。

いずれにしろ、日本の将来は“萌え”系にかかっている。

編集部よ、話の落としどころに困ったからって、その結論は投げっぱなしすぎ!

*1:http://www.kouenirai.com/profile/profire-b-image/296.jpg

*2:http://image.excite.co.jp/jp/season/book/ishihara_soichiro1.jpg

*3:単純にギャルゲーとかにも理解のある女性オタクが増えて、オタク同士のカップリングが増える、というケースは十分に考えられるけど。っていうか、今、もうそういう状況か。