トニー・バレント

putchee-oya2004-04-08



本日、「K-1 WORLD MAX」という格闘技の大会が行われておりました。
結果。
スポーツナビ
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200404/07/index.html
魔娑斗とか、有名ですよね。


で、注目すべきはこの試合。
山本“KID”徳郁 VS トニー・バレント
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200404/07/a06.html
試合写真がないんですね。っていうか。


http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pict/200404/07/040407_kak_k1_barento_b.jpg
誰だよ。


こちらが試合結果。

1R ブルースリーの映画『死亡遊戯』さながらの身長差のKIDとバレント。KIDは素早いタックルから一気にサイドポジションを奪うと、マウント! 後ろを向いたバレントを4の字ロックでコントロールすると背後からのパンチを交えながらチョークスリーパー! しばらく長い両手を振り回して耐えたバレントだが、KIDが両腕に力を込めると、たまらずマットをタップした。

ブルース・リー


K-1ってのはご存知のとおり、キックボクシングに限りなく近いルールで行われているのですが、この試合は「MMAルール」なるものが採用されております。ミクスド・マーシャル・アーツの略で、要するに総合格闘技、もっと要すると「PRIDE」みたいなルールなんですね。
この山本選手ってのは、レスリングの山本姉妹の実弟で、修斗という総合格闘技で活躍している人。“狂犬”エンセン井上を義兄に持ち、そのワイルドな試合ぶり(と人柄)で人気を博している。前回のK-1で立ち技格闘技に初挑戦ながらも、優勝候補だった村浜武洋を撃破しています。
では、その対戦相手のトニー・バレントという男はというと……。


こんな人。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pict/200311/18/031118_kak_k1_03_dj02b.jpg
トラックスーツ! だから試合結果の文章に「ブルース・リー」なんてフレーズが出てくるわけですね。
っていうか、このトニー・バレントという選手、試合内容がどうとかではなく、「ブルース・リーのファン」という1点で人気があるんです。
ちなみにこれは昨年の大会に出場したときの写真。基本的に立ち技専門なので、山本選手とは真逆の今回がMMA初挑戦。ハッキリ言って山本選手のかませ犬です。


前回の試合レポートを見てみましょう。
小比類巻貴之 VS トニー・バレント
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200311/18/a03.html

対するバレントは02年3月のSBでは緒形健一にKO負けした188センチの大型選手。「小比類巻はグレートキックを持っている」と印象を語ると、「でも僕にはこれがある」と持参したブルース・リー死亡遊戯』バージョンの黄色のつなぎを着用。「当日はこれで戦う」と勝手に宣言した。「このアフロヘアも70年代のリー作品へのオマージュなんだ」とやる気満々。

どことなく『少林サッカー』を彷佛とさせるコメントですね。

しかし、K−1関係者によれば「あのつなぎは脱がされるでしょう」とつれない。

酷い。
試合は3RでトニーのKO負け。


試合後のコメント。

■バレント  「皆さんに楽しんでもらえた」
 会場が沸いていたので、エキサイトな試合を見せられたと思う。負けはしたがベストをつくしたし、会場の皆も喜んでくれた。
 事前に彼の試合を見て研究をしていた。蹴りが速くて難しい試合になると思った。研究はしてきたが、思うように戦えなかった。

ほうほう。

――コスチュームは注意されなかったか
 特に注意はされなかった。全員キックパンツで同じように見えるので、トラックスーツと70年代をほうふつとさせる髪型で楽しんでもらおうと思った。

個性ですね。

――ブルース・リーの動きをまねした部分は
 ファンだし、まねたわけじゃないが、動きに出る。動きというか、イメージの中で、こういう戦いができたいいなとイメージして戦っている。

イメージなら、みんなしてますよ。中学時代とかに。

 1988年から格闘技を始め、柔道、剣道など格闘技と呼べるものはすべてやっている。皆さん楽しんでいただけましたか? 自分は最善をつくしました。

トニーのベストは観客にも届いた。っていうか、誰でもわかる。ああ、バカなんだな、って。


「カンフーマスター、トニー・バレント」(sawadaspecial.com
http://sawadaspecial.com/mt/archives/000449.html
ほとんどリンク切れのようですが。


トニー・バレント プロフィール」
http://www.so-net.ne.jp/feg/profile/ta_valenti.html
この写真、最高。


sawadaspecial.comでも触れられているが、バックボーンとされている「ウィンチュンカンフー」とは、詠春拳のこと。ブルース・リーが自ら作り上げたジークンドーのベースにしたと言われている武術だ。
トニーが現在所属しているのは「ブラックコブラ・ラスベガス」という道場。中学生感覚のネーミングです。


トニー・バレント ファンクラブ」
http://saumiya.hp.infoseek.co.jp/
音が出ますので注意。


掲示板の書き込みより。今日の試合直前に投稿されたもの。

東京・国立代々木競技場第一体育館の決戦当時、KIDのパンチとパウンドはケタ外れの強さを持っていた。
彼のパンチをまともに喰らった者は必ずキャンパスに沈んでいた。
いかにそのパンチをもらわず反撃するかに、トニーの勝機はかかっていた。
真っ向から攻めても駄目だと判断したトニーは、身軽なステップでリング上を舞ってKIDの攻撃を避け続けた。
トニーはブルース・リーばりの怪鳥音を発し、怒ったKIDが攻め疲れるのを待った。
そして第3ラウンド、体力を消耗したKIDがよろけた瞬間、トニーは電光石火の速さで
左右のバックブローを叩き込み勝利した。
誰もがKIDの勝利を確信し、トニーは引退するだろうと考えていた。
ひょっとしたら、トニー本人もそう考えていたかもしれない。だが、勝利の女神は最後にトニーに微笑んだ。
この試合は「第2のキンシャサの奇跡」と呼ばれ、今でもトニーファンの語り草になっている。

一種のファンフィクションですね。妄想とも言いますが。


「タイソン弟、カンフー・キックで“鬼に金脚” 」
http://www.sanspo.com/fight/top/f200403/f2004031201.html
先日、来日した“自称・タイソンの弟”のコーチも務めました。
すっかりメートル上がったコメントを連発している“自称・タイソンの弟”ですが、試合ではキッチリ負けてます。結局、誰だったんだよ?


はてなダイアリー 夜魔雑記」
http://d.hatena.ne.jp/nightst/20040321

サタスペ番外地ドラゴンの1本目「沙京武闘伝説」のトリッパー。PCは「トニー・バレント流カンフーマスター術(通信講座)一門」の長兄、トニー・バレンティーノ。厳しい修行の中、死者・昏倒者が続出。茨の道を乗り越えて、師匠から奥義書(ねこだまし)を頂きました。

サタスペ」というのは、TRPGのタイトルらしい。愛されてるなぁ、トニー。でも「通信講座」ってのは酷い。


さて、話をグーンと戻して、今回の試合。
まぁものの見事な秒殺負けだったトニー。試合後もひたすら反省しております。

――初めてのMMAの感想は
 結果として、あのような形ですぐに試合が終わってしまったので、最初で最後のMMAにしたいと思います。(中略)ああいう終わり方をするくらいなら、ボロボロになる位に打ちのめされた方が、ファンの皆さんに喜んでもらえたでしょう。

前に引用した昨年の大会のときのコメントもそうでしたが、ひたすらお客さんを喜ばせることのみを考えているようです。

――1週間の準備期間でしたが
 ファンの皆さんが、MMAでの試合を望んでいると感じましたので、1週間の準備期間は短すぎましたが、出場を決めました。

立ち技しか経験のないのに、ファンの声を聞いて出場を決めたという。男っぽいぞ、トニー。
しかし、まったく勝算がないのに、リングに上がる姿勢というのは、プロ格闘家としてどうなんだろう? 「戦う前から負けることを考える奴がいるかよ!」と、テレビカメラの前でインタビュアーを唐突にビンタしたのはアントニオ猪木だったが……。

総合は全く分からないので、立ち技の練習を積んできました。千葉真一の動きから編み出したスペシャルテクニックがあったのですが、お見せできなくて残念です。

????
千葉真一の動き? スペシャルテクニック?

――今後は
 ファンの皆さんの期待にこたえていきたいです。MMAでの試合を望まれるのであれば、十分な準備をしてまたチャレンジしたいですし、KID選手とも再戦したいです。

いや、だからそんなことよりも、「千葉真一の動きから編み出したスペシャルテクニック」について聞いてくれよ。

K−1のルールで再戦できれば、今日出せなかったスペシャルテクニックをお見せできると思います。

再戦させるしかないでしょう。
それにしても謎なのは千葉真一。ロスに住んでいるのかと思ったら、こんな選手に指導していたとは……。


ちなみに携帯サイト「格闘魂」には以下のようなコメントも。どうやら「スポーツナビ」ではカットされている部分らしい。

山本選手と再戦をしたいと思うけど、そこにいるスティーブン・クアドロは「K-1ルールで再戦したらいい」と言ってます。彼も千葉真一の映画をたくさん見ているので、K-1ルールならば今回出せなかったスペシャルテクニックも出せるのではと思う。

映画見て思いついたのかよ! お前のスペシャルテクニックは!


徹頭徹尾、中学生なトニー・バレントでした。