プレイ? 犯罪?


世の中は電車の事故とかで大変ですが、この話が抜群に面白かったです。


野々村秀樹容疑者先生」(「小規模アダルトコーナー担当日誌・至極抜人の日記」より)
http://www.geocities.jp/nukuhito/nikki0500402#05/04/18
おなじみ「Yellow Tear Drops*1経由。アシスタントの女性をレイプしていた漫画家が逮捕された事件についての記事です。先週の『週刊現代』に掲載されていた記事ですが、車内吊りでも大きく打たれていたので知っている人も多いかと思います。


あまりに面白かったので、一部、孫引き込みでご紹介していきましょう*2

捕まったのは、『OFFICE麗』や『ファントム零』、『それゆけまりんちゃん』などで知られる野々村秀樹(という夫婦共同ペンネームの作画担当者で夫)。最近は、同人誌に活動を移し相当儲けているとか。野々村秀樹公式サイトhttp://members.jcom.home.ne.jp/nonoya/(18禁画像あり)
3月17日住居不法侵入の容疑で逮捕され、4月7日には強姦罪で再逮捕されている。

週刊現代』によると、「年収1億円あると噂」される同人誌界の「帝王」的存在だったとか。同人誌で1億円! スゲー。

被害者の女性は、秀樹容疑者先生のアシスタントで、


A子さんは身長155cm。胸までのストレートヘアに目もとのはっきりした顔立ちで、女優のともさかりえを想像させる美女である。


まさしくロリ巨乳キャラしか描かない秀樹容疑者先生の理想の女性だろう。彼女が語った内容はとてもじゃないが信じ難い事件なのだが、犯人である秀樹容疑者先生が全面的に認めているので全部が嘘とも言い切れない。

まぁ本人が認めているわけだから、やってるんだろうなぁ。

昨年8月、被害者の女性がアパートの自宅に入った途端、口にガムテープ、目にアイマスクで塞がれ、両手を背中で手錠をさせられ、両膝両足首をロープで縛られたという。

「男は低く押し殺した声で、何ヶ所かに電話をかけている様子でした。『女を確保しました。ほくろの位置も一緒です』とか『実家は囲んだか?』とかいった内容で、複数の相手に自分と家族が狙われていると思い込んだ私は、すっかりパニック状態になってしまいました」

「男」とは、もちろん捕まった野々村容疑者のこと。共犯者がいたのだろうか? それが、いなかったのだ。あくまで単独犯行。これは女性を脅すための、野々村容疑者の周到な「演出」なのだ。そりゃ、こんなことされたら女の子はビビってしまうでしょう。それにしても、芝居くさくないか?

「覆面の男は全裸になった私に、お湯を張った洗面器とT字カミソリ。ショービングクリームを手渡し、『下の毛を剃れ』と命令しました」
「あと……自分で(自慰を)しろと言われたり、(男性器を)舐めろといわれたり、セックスを強要されました。常にビデオカメラは回っていましたが、そのすべてに……従うしかありませんでした」


まんま、エロマンガですな。

さっきの「演出」も込みで、エロマンガ的展開の事件なわけですね。しかし、脅迫の効果はてきめんです。彼女は犯人の言いなりになるしかありませんでした。

で、彼女は秀樹容疑者先生に相談するのだが(よりにもよって犯人本人に!)、その後犯人らしき人物から電話が、


「出ると、いきなり覆面の男の声で、『昨日のこと喋っただろ。あんたもう、ダメかもしれん』と言われたんです」


覆面の男の声ってそれ秀樹容疑者先生だろ! 男は携帯電話の盗聴を匂わせたそうだが、相談相手=秀樹容疑者先生=犯人なんだけど。

ここでひとつツッコミが入っている。彼女のもとに電話がかかってきているのだが、それを彼女は「覆面の男の声」と断定しているのだ。


彼女は野々村容疑者のアシスタントであり、野々村容疑者とは毎日のように顔を合わせていたはずである。ちょっと想像してほしい。職場の上司や同僚が覆面を被っている姿を。一瞬ではない。ずーっと。何時間も。ついでにセックスまで。


だが、それで彼女に「わからないほうがおかしい!」と迫るのは酷かもしれない。なにせ脅されていてパニックに陥っているわけだから。目の前の覆面男が暴力でもふるってきたら、相手が誰か確認するどころではないかもしれない。でも、電話ってのはどうだ? 声に覆面はかかっていない。直接的に暴力を受けることもない。目の前に犯人が立ち塞がっているときに比べて、もちっと冷静に対応できるのではないだろうか。ボイスチェンジャーを使っていた、という可能性もあるが、そういうわけではなさそうだ*3。電話で少し喋ってみたなら、さすがにそれが野々村容疑者の声だってことぐらいわかるのではないだろうか?


さらに彼女への陵辱はエスカレート(陵辱って言葉なんて、生まれてはじめて打ったよ)。犯人はコスプレセックスと剃毛にやたらとこだわっていたそうだ。ここで、事件は意外な展開を迎える。

被害者が秀樹容疑者先生に疑問を抱き始めたのが今年1月。


覆面の男に「先生」と性的関係を持たないと、家族に危害を加えるとの奇妙な脅迫を受けたことが発端だった。


バカですか秀樹容疑者先生。そりゃバレるでしょが。

く、狂ってる……。覆面の男でいることに疲れてしまったんでしょうか、野々村容疑者。それとも、何かそういう嗜好(言葉で上手く表現できん)が……?

「仕方なしに、私から誘って先生と何度か関係を持つようになりましたが、何度目かに、二人の局部の特徴が同じであることに気づき、同一人物だと確信しました」

そこかよ! そこが同じってことしか気づかないのかよ!?

そんなにうまくいくもんかね。まあ、バレちゃったんだけど。それでも彼女を能動的に動かすことには成功している。模倣されてしまいそうだ。それにしても、局部の特徴ってのは。
ここまでくると、エロマンガというよりエロゲーだなあ。レイプから始まった一連の事件すべてが“プレイ”なんじゃないのかって思っちゃうよ。どこまで本当なんでしょうか。

「プレイ」という言葉は、たしかに物凄くしっくりくる。彼女はなぜチンコを見て犯人の正体に気づくまで、警察に黙っていたのだろう? 家族を人質にとられているから?(野々村容疑者には相談しているのに!)


レイプってのは大変な犯罪であり、そのことが女性に与える心理的重圧たるや、凄まじいものがあることはわかる。だけど、こうやって読んでいくと、どうも女性のほうが一枚上手だったような気がしてしょうがないのだ。彼女も知らぬ間に「エロマンガ的ストーリー」の登場人物を演じていたのではないか? と。野々村容疑者は、もちろん犯人役なので、警察にしょっぴかれたら「ヒー、私が全部悪いんですー」と認めるに決まっている。登場人物はすべて自分が動かしていた、と思っているだろう。だが、本当にそうだろうか? 脅迫があったとはいえ、彼女がそういう「エロマンガ的ストーリー」にまったく無縁の人物であったとしたら、この事件は違う方向に転がっていったのではないだろうか? 
『完全なる飼育』という映画があるのだが、あれは監禁・強姦された少女が、一緒に住んでいるうちに監禁犯に心を寄せてしまう、という話だった。同じ話だ、というわけではない。ただ、そういう話があるなら(『完全なる飼育』の原作は松田美智子によるノンフィクション)、野々村容疑者と彼女がふたりで作り上げた「エロマンガ的」世界にハマってしまった、という可能性だってないわけではないだろう。いや、想像だけでうかつなことを書いていることは重々承知してますけどね。
 

そもそも、こうして『週刊現代』に事件の真相を告白(告発、ではないと思う)しているのは、どういう心境なんだろう? 謎が多い事件です。まぁ『週刊現代』がエロっぽく書いてるからそう読めちゃうんだろうけどね。

*1:http://www5e.biglobe.ne.jp/~rolling/

*2:元のサイトで太字にしてある部分は、こちらでも太字にしてみました。

*3:関係ないけど、脅迫電話でヴォコーダーとか使う犯人っているのかね? トキオ!